PCCJ 2018シーズンのオフィシャルテストが、2018年3月13日(火)、14日(水)の2日間にわたって富士スピードウェイ(静岡県)で開催された。PCCJは、世界各地で開催されているカレラカップシリーズの一つとして2001年に日本でもスタートし、今年で18年目のシーズンを迎えたワンメイクレースの最高峰である。2018シーズンは、4月7〜8日に岡山国際サーキット(岡山県)で幕を開け(第1-2戦)、10月までの6カ月間で6イベント全11戦が開催される。クラス区分は2017シーズン同様、全ドライバーが対象のオーバーオール(総合順位)によるシリーズチャンピオン争いと、オーバーオールの中でアマチュアドライバー同士が覇を目指す「ジェントルマンクラス」による戦いで構成される。今シーズンのエントリーは全22台(うちジェントルマンクラス登録は16台予定)だが、今回のオフィシャルテストには18台が挑み、1日2セッションの2日間計4セッションを走行した。
なお、今季のPCCJを戦うマシンは、新たに導入されたタイプ991 第2世代のニュー911 GT3 Cup。リアに搭載された水平対向6気筒エンジンは3.8リッターから4リッターへ変更され、最高出力が460psから485psへアップし、ダイレクト・フューエル・インジェクション(DFI)の採用により効率性も大幅に向上した。さらにアンチロック・ブレーキシステム(ABS)を採用するなど、安全面も含めた大きな進化を遂げている。ニューマシン導入初年度となる今シーズン、果たしてどのような戦いが繰り広げられるのか注目される。
3月13日(火) セッション1(13時15分〜13時55分)
天候:晴れ 路面:ドライ 気温13度 路面温度22度
好天に恵まれた富士スピードウェイには、今シーズンのPCCJに参戦するカレラカップパイロットが集結。午前中はレギュレーションの変更点やニュー911 GT3 Cupの変更点について、オリエンテーションやコクピットドリルを実施。そして13時15分にセッション1がスタートするが、これがニューマシンのシェイクダウンというドライバーも多く、まずは各車ともマシンの感触を確認しながら周回を重ねていく。とくに念入りにチェックしていたのがブレーキングポイント。ABSが導入されたため、各コーナーの攻め方を各車とも試行錯誤で繰り返すが、まだ初日ということもあり納得いく走りはできていないドライバーが多かったようだ。
3月13日(火) セッション2(15時00分〜15時55分)
天候:晴れ 路面:ドライ 気温13度 路面温度20度
2回目のセッションは15時にスタート。1回目に引き続きニューマシンでどのように富士を攻めていくべきかに重点が置かれていた。各ドライバーからは、「パワーアップしたニューマシンでは、これまでの走り方が通用しない」「ABS付きとなったため、コーナーでのブレーキングポイントを何回も繰り返しチェックしました」という声が多く聞かれた。各自が課題を決め、一つ一つクリアにしていくことも今回の合同テストでは重要なポイントとなっている。タイム的には1分42秒台〜45秒台のマシンが多くなった初日のセッションだが、本格的なタイムアタックは2日目に持ち越されたといえる。なお走行後には、PCCJオフィシャルドライビングアドバイザーである影山正美選手からドライビングレクチャーが実施された。
3月14日(水) セッション3(11時00分〜11時55分)
天候:晴れ 路面:ドライ 気温15度 路面温度32度
2日目も初日同様に朝から青空が広がり、気温はどんどんと上昇していく。そして、前日と同じくニューマシンの特徴をチェックするように周回を重ねていく各ドライバーは、開始10分過ぎからタイムアタックへと突入。上位グループが1分43秒台のタイムをマークする中、トップは42秒台のタイムを刻んでいく。結果、上位3台が42秒台、4〜10番手までが43秒台、11〜15番手までが44秒台と拮抗していた。昨年PCCJ史上初となるオーバーオール(総合)とジェントルマンクラスのダブルタイトルを獲得した#9 武井真司は走行後、「まだニューマシンの特性を把握できないでいます。ABS付きのマシンに慣れていないということもあるので、セットアップを変更しながらいろいろと試しているところです。また、自分の乗り方を変えていかないとダメかもしれませんね」と語った。
3月14日(水) セッション4(14時00分〜14時55分)
天候:晴れ 路面:ドライ 気温18度 路面温度28度
今回の合同テストで最後の走行となるセッション4は、各車ともニュータイヤを投入してタイムアタックに挑む。最大の見所となったのは残り5分を切ってからのPCCJジュニアプログラムドライバーの#18 上村優太、2016年PCCJシリーズチャンピオンの#78 近藤 翼、2014年と2016年のPCCJジェントルマンクラスチャンピオンである#7 星野 敏の3人によるトップタイム争い。最終的にPCCJの富士コースレコード1分42秒087に迫る1分42秒139で2日間のトップタイムを記録した#7星野は走行後、「今回のテストはニューマシンのセッティングをいろいろと試せて、有意義な2日間でした。自分なりの方向性も見えましたので、レースでも若手ドライバーに負けない走りを見せたいですね」と意気込みを語ってくれた。こうして18名のカレラカップパイロットが、各自の目標を持って挑んだ2日間のテストデーは、大きな混乱もなく終了した。
合同テストの結果で今シーズンのシリーズチャンピオン争いを予想するならば、#7 星野、#9 武井、#18 上村、#78 近藤の4人を中心とした展開は濃厚だろう。これにスーパー耐久ST-Xクラスでチャンピオン獲得経験のあるPCCJルーキーの#34 内田優大と、今回のテストデーは欠席となったPCCJジュニアプログラムドライバーの#19 片山義章が、どのように絡んでくるのかが注目される。一方のジェントルマンクラスは、チャンピオン経験者、ベテラン、ルーキーと16人のカレラカップパイロットが参戦する。テストにおけるタイム差は昨年以上に僅差となっているので、国内最高峰のワンメイクレースPCCJは例年以上に盛り上がりを見せるはずだ。ニュー911 GT3 Cupのマシンパフォーマンス、若手ドライバー対ベテランドライバーの争い、ルーキードライバーの台頭など、見逃せないポイントが多い今年のPCCJ。その注目の開幕戦岡山大会は、4月7〜8日に迫っている。