Porsche Sprint Challenge Japan(PSCJ)の2020年シーズン開幕第1戦が、岡山国際サーキットで行われた。前日の雨は上がったものの、この日の最低気温は5℃、体感温度はもっと寒い。しかも朝8:55から行われた予選はまだウェット路面で、ドライバーたちの選択肢は五分五分に分かれた。スリックタイヤでコースインしたのは、GT3-Iクラスの#77 MUSASHIとオープンクラスの#93松島豊選手、GT4クラスの#10 Salo Max Yukiと#20の大草りき。逆にGT3-Iクラスの#63長嶋重登と#36 Sky Chen、GT3-IIクラスの#66萩原秀樹、#15神取彦一郎は、レインタイヤを選んだ。
20分間で行われる予選では各車1分50秒弱のラップタイムから始まり、路面の水が少しづつハケるにつれ、徐々に48秒台、47秒台を刻んでゆく。だが8ラップ目に#10 Salo Max Yukiが、コース内でもっとも標高の低い区間に向かう途中、S字出口とアトウッド・コーナーの間でスピンし、スポンジバリアにリアをヒット。残り5分での赤旗中断を経て予選はそのまま終了となった。Salo選手には怪我はなく、マシンはリアにダメージを負ったため、決勝はDNSリタイアというほろ苦い日本でのデビュー戦となった。
ポールシッターとなった#63長嶋は、「短い時間枠だし、ユーズドのレインタイヤで走り切ることにして、早い段階でタイムを出しにいくチーム戦略が当たりました」と、述べる。#63長嶋の1分43秒779に対し、#66萩原は1分45秒203を記録。GT3-IとGT3-IIそれぞれのクラスポールポジションドライバーが第1戦スターティンググリッドの1-2を占める形となった。
GT4クラスはポルシェ ジャパン ジュニアプログラムから参戦する#20大草が、全体でも3番手タイムの1分45秒716を叩き出した。専有走行もドライ路面で走れていなかったという大草だが、「今の時期、走れる機会自体が貴重でありがたいこと。予選は慎重に入って終盤でアタックしようと思っていました」とふり返った。
決勝は全車とも、ミシュランマンの祝福を受けながら、スリックタイヤを選んでグリッドに整列。10:58にローリングスタートで火蓋が切られた。2列目グリッド外側スタートで、岡山国際をホームサーキットとする#93松島がラップ2にポールスタートの#63長嶋をリードし、一時はトップに躍り出る。序盤4ラップは上位4台が1秒以内に連なる接戦となる。
だが#93松島はスタート違反の判定を受けドライブスルーペナルティを科されたため5-6ラップ間でペナルティを消化。しかしその際のピットレーン通過速度に対する違反判定を受け、ラップ8で再びドライブスルーペナルティを余儀なくされた。
こうしてラップ5からは再びレースは#63長嶋がリード。予選でスリックタイヤを選択し、3列目グリッドからのスタートとなった#77 MUSASHIは序盤から積極的に仕掛け、コンマ数秒差で、その#63長嶋の背後をプッシュし続ける。
またトップから約7秒差でセカンドグループを形成したGT3-IIクラスは、クラスポールスタートの#66萩原と#15神取の一騎打ちが、0.4~0.6秒の差で推移。こちらのクラスも見ごたえある神経戦となった。
ブロックラインを走り続けて上位フィニッシュしたとしても、レース中のベストラップ順に次戦のスタートグリッドが決定するPSCJでは、レース終盤の駆け引きも重要になる。このレースでもフィニッシュ直前には午後に控える第2戦を意識しての駆け引きも随所で見られた。
最終的にGT3-Iクラスは#63長嶋が#77 MUSASHIを0.456秒差で押さえきってチェッカー。GT3-IIクラスは#15神取のプレッシャーをかけ続ける作戦が功を奏し、最終ラップに#66萩原を逆転。ちなみに二人のベストラップの差は、たった0.039秒だった。GT4クラス唯一の出走となった#20大草だが、まだウェットが抜けきらない条件下ながら、997GT3を僅かに上回る1分37秒257のベストラップをケイマンGT4で刻み、光る走りを見せたといえる。
こうしてレース後の表彰台では、各クラスのウィナーが笑顔で、しかし午後の第2戦を考慮して、ノンアルコールのシャンパンを振るセレモニーによって、開幕戦は幕を閉じたのだった。
後ろから#77のMUSASHI選手にずっとプッシュされる苦しい展開で、怖かったですよ(笑)。何とかしのげました。でもタイムでは譲っている分、次戦のスタートグリッドでは追いかける側に確実に回りますから、気持ちを切り替えて臨みます
#66萩原選手の後ろに張りついて、タイヤがタレて来てくれるのを期待しながらプレッシャーをかけて、最後の2ラップが勝負だと思っていました
予選の時よりずいぶん乾いてきたけど、決勝も路面がまだ完全なドライとはいえなくて、レコードラインを外すとグリップが微妙になる感触。GT3にどこまで追いつけるか、意識はしていますね。なかなかドライで走り込めていなかったので、午後はドライ用のセッティングを変えて臨んで、タイムを詰めていきたいです
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