Porsche Sprint Challenge Japan (PSCJ)2020第5戦が、ツインリンクもてぎで行われた。コロナウイルスの影響による第3戦・第4戦の開催中止の後、待望のシリーズ再開を告げるラウンドだ。日曜9 :00より行われた予選は20分間。GT3-I、GT3-II、GT4の各クラスのエントラントとも、マシンと路面の感触を確かめるように、慎重なコースインとなった。
曇り空とはいえ梅雨の明けきらないこの時期、雨上がりの路面は見た目以上に土埃が残っている。予選で唯一、2分を切る1分59秒476を記録したのはGT3-Iクラスの#9小林賢二。ツインリンクもてぎは得意なサーキットとのことで、ABSの無いスーパーカップ仕様を見事に操ってのポールポジションだった。「もてぎは自分にとって相性のいいサーキット。カレラカップでは1分55秒台が出ていますから、そんなに攻めているというより、慎重に詰めていった結果だと思っています」。予選2番手は前回のレースを制した#77 MUSASHIで、2分0秒343の好タイムだが、「もてぎは去年の7月以来で、レース自体も久しぶり。路面コンディションがよくないのもありましたが、自分がまだブレーキングでシンプルに踏めていない。そこが課題です」。
続くGT3-IIクラスでは、#15神取彦一郎が2分01秒318を記録。「コーナーのラインを、アウトサイドの緑の縁石まで踏めるレイアウトなんですけど、埃も多くてゴムものっていないから、トラクションがかからなくて。それでブレーキングでコンマ5秒ぐらい削ろうとしたら、逆に失敗してコンマ5秒ぐらい失いました。リズムにのれませんでしたね」。
そしてGT4クラスではポルシェジャパンモータースポーツのジュニアドライバーである#20大草りきが2分2秒410を叩き出した。「今日の目標はGT4クラスのコースレコード(2分1秒7)を更新すること。まだ少し濡れている路面は残っていましたが、タイムに影響はないです。規定が昨年と少し変わって、今年の仕様のケイマンGT4は10㎜ほど車高が上がったので、グリップをどう稼ぐか。予選でぶっつけで走ってみたセッティングでは、フロントの感触が思った通りではなかった。キャンバーをつけたり、少し乗りづらくなる方向にバランスを変えた中で、自分がどう速くできるか試したいです」。
決勝のスターティンググリッド整列の時、数分前の晴天からうって変わって冷たい風が吹き始め、黒雲が現れた。メカニックたちも念のためレインタイヤへの交換一式をグリッド上に持ち込み、慌ただしい雰囲気となった。ペースカーの先導によるフォーメーションラップの後、シグナルブルーによってローリングスタートの火ぶたが切られた。イン側のポールポジションからスタートした#9小林が、#77MUSASHIを抑えたままトップをキープ。その後方では2コーナーから3コーナーにかけて、#20大草が#15神取を先行し、それぞれ総合3位-4位というオーダーを形成した。
オープニングラップでは0.404秒あったギャップを、ラップ2で0.297秒、ラップ3で0.128秒と、タイヤが温まるにつれ#77MUSASHIが#9小林をテールトゥノーズで追い詰める展開となる。それでも#9小林は、タイトなコース幅を利した巧みなラインどりによって、リードを保ち続ける。この2台の先頭争いにGT4の#20大草が、時にはセクター1~2のテクニカル区間でコンマ数秒ほど上回りながら、食い下がる。そんなレース序盤の展開となった。ラップ3で#20大草は2分2秒164という、GT4のコースレコードにコンマ4秒まで迫る自己ベストを記録した。しかしストレートエンドでの約15㎞/hになって表れる911GT3とケイマンGT4の差は埋めがたく、コンスタントに2分1秒台で周回するGT3-Iのトップ2台とのギャップは徐々に開いていく。一方でオープニングラップで#20大草にリードを許した#15神取は、尻上がりにペースを上げ、レース中盤にベストラップを何度も更新し、ラップ6で2分2秒276のファステストを記録した。
GT3-Iクラスの2台によるトップ争いは、ラップ8から9にかけてメインストレートで#77MUSASHが1コーナーのイン側ににじり寄るも、#9小林もブロックラインをとって先行を許さない。チェッカーまであと2ラップほど残して小雨が落ち始めたにも関わらず、最後まで後方からのハードプッシュに耐えた#9小林が#77MUSASHIを0.272秒差で抑えてフィニッシュ。終始、ジェントルマン・レースらしいクリーンなバトルに徹した二人のドライバーに惜しみない拍手が送られた。GT-3IIクラスの#15神取は終盤に追い上げたが、GT4クラスの#20大草に総合3位を譲る形でチェッカーを受けた。
もてぎは自分にとって相性のいいサーキット。トップにいる以上、抜かれにくいラインをもちろん走るんですけど、ABS無し仕様なので、後方の#77MUSASHI選手にどうしてもブレーキングで詰められました。辛抱のレース展開だと思わないで、相手が諦めてくれるのを待つような感覚で走りました。
予選ではまだ自分が慎重になり過ぎて、ブレーキをきっちり思い切って踏めていませんでしたが、決勝ではその課題はある程度クリアできたかな。2位からプレッシャーをかけるとかタイミングを待つことはしなかったです。抜ける時に抜くというつもりで追っていました。#9小林選手とベストラップでの差は大きくないはずなので、第6戦は頑張ります。
もてぎはストップ&ゴーが多いだけでなくアップ&ダウンもありますし、シフトチェンジ操作が忙しくて、ミスすると響くという意味でも、神経を使うコースですね。終盤はGT3-IIという上位クラスの意地で、前を行く#20大草選手のケイマンGT4との差を少し詰めることができて、よかったです。
GT4のコースレコードにコンマ4秒届かず、悔しいですね。路面も予想以上に冷たくて、現状では目いっぱいでした。序盤はGT3-Iクラスの速い2台についていってスリップストリームを使おうとしたんですけど、直線での速度差がやはり大きくて。コーナー区間で詰めた後に、東ストレートで多少効かせられましたが、差を抱えたままのホームストレートでは圏外でした。
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