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株式会社 Kitchen & Company 代表取締役・マネージングダイレクター
中道大輔

ブランドを通して日本の素晴らしい文化を世界へ発信していきたい。

「これからもグローバルカンバセーションを促しながら、お互いの価値をシェアできる環境や場所、人とのつながりを作っていく。それが僕の大きなミッションだから」

イギリスで暮らした経験と未来への危機感が夢の源

ポルシェ・ジャパンが2021年に展開したブランドコミュニケーションプロジェクト「Inside Porsche」は、ポルシェが70年以上に渡って追求してきたクルマへの普遍的哲学を2人のクリエイターの視点で紐解くもので、大きな反響を呼んだ。このプロジェクトを手がけたのが、今回のゲストである株式会社 Kitchen & Companyの代表取締役・マネージングダイレクターの中道大輔さんだ。

彼の夢は、「日本にある素晴らしいカルチャーを世界中に浸透させていくこと」だ。2013年に設立されたKitchen & Companyは、彼の夢を叶えるために立ち上げたといっても過言ではないという。

「僕がこの夢を抱くようになったのは、11歳から25歳までイギリスで過ごした経験が大きく影響していると思います。当時はインターネットが普及し始めたころで、それまでアジアの小国に過ぎなかった日本が次第にクールな国へと世界に認知されていった時期でもありました。そして、もう一つは未来への危機感です。日本はこれまでクルマや電化製品といったプロダクトを世界に打ち出してきましたけど、今やその品質やデザインは中国や韓国と大差ないところまできています。それでもまだ多くの企業は、日本国内だけでビジネスを考えているように思う。人口も減っている今、このままでは日本は確実に淘汰されていくし、そうなると僕の子どもたちが大人になったときに苦労するだろうなと感じています。だから僕の夢は、僕の経験と未来への危機感から成り立っています」

パイオニアマインドや文化がブランドの価値を高める

現在、彼は国内外のさまざまな企業と手を組み、ブランドの潜在的な魅力を新たな価値へと創造させ、日本と世界のカルチャーをつなぐグローバルブランドビジネスを展開中だ。その中で、今後、ブランドにはプロダクトの背景にあるパイオニアマインドや文化といった、見えない部分もセットにした海外進出が大事だと感じている。しかし、残念ながら、今の日本では彼の話す言葉はマイノリティな意見と捉えられてしまうそうで、そこにこの夢の難しさがあると彼は話す。

「もうモノだけで勝負する時代ではなくて、今後はコミュニケーションが必要不可欠になるでしょうね。日本人特有の謙遜も海外では通用しませんし。でも、だからといって、たとえばアメリカの人と同じことをする必要はなくて、日本人ならではのシェアの方法がきっとあるはずなんです。きちんとコミュニケーションができれば、本当の意味で世界をつなげるのは日本人じゃないかなと僕は思っています。そのためにも日本人はもっと海外に出るべきですね。外から見たら自分たちの良さも分かると思うし、それが分からないと自分たちの表現もなかなか固まらないと思う」

彼が大事だとは話すパイオニアマインドは、ポルシェにもしっかり宿っているという。

「今まで培ってきた技術や歴史だけがプロダクトを作るわけじゃなくて、ポルシェの創業者であるフェリー・ポルシェの『自らが理想とする車を探したが、どこにも見つからなかった。だから自分で造ることにした』というマインドがカルチャーを作っていくんだと思う。そして、それが新しいクルマにも反映されているから多くの人が惹かれるし、お金を払ってでもシェアしたいと価値なんだと思います」

「僕にとってポルシェ911は夢のクルマ。オーセンティックでクラシックだけど、いつの時代も変わらない良さがある。僕がポルシェに乗るときは、僕なりのインスピレーションを探すときが多いかも」

大きな夢に向かい、今は仕事も趣味も夢の一部

彼もまたポルシェの価値をシェアした1人だ。
4年前、長年憧れ続けたポルシェ911をついに手に入れた。

「僕にとってポルシェ911は夢のクルマです。いつかちゃんと扱えるようになったときに買おうと思って、ずっとずっーと見てました(笑)。僕はオーセンティックでクラシックだけど、いつの時代も良さが変わらない物が好きなんです。たとえば、リーバイスだったら501だし、ポルシェなら911だし。僕がポルシェに乗るときは、僕なりのインスピレーションを探すときが多いですね」

世界中を襲ったパンデミックの影響もあり、未だ日本には閉塞感と停滞感が漂う。でも、そんな今だからこそ、日本人はもっと自分たちの文化に自信を持つべきなのかもしれない。

「僕の夢は大きくもあるし、すぐに叶わないかもしれない。だけど、僕は外から日本を見てきて、『もっといけるよね?』という自分が生まれた国に対しての期待感もあるんです。今も社内ではどのようにグローバルカンバセーションを促しながら、お互いの価値をシェアできる環境や場所、人とのつながりが作れるかを話し合っています。それが僕らの大きなミッションだから、今は仕事も趣味も夢も全部一緒のような感覚です(笑)」