「日本代表のユニフォームを着てプレーすることは、サッカー選手にとってすごく特別なことです。今はワールドカップで活躍したい。そのために目標は常に高く、アップデートも欠かさない」
2022年6月、プレミアリーグのリバプールFCから、フランス1部ASモナコへの移籍が発表されたプロサッカー選手・南野拓実さん。11月に開催予定のFIFAサッカーワールドカップ カタール大会でも活躍が期待される日本代表の一人だ
今や子どもたちの憧れの存在である彼が、サッカーを始めたのは3歳上の兄の影響だった。周りの友人たちが遊びに興じる中、彼は物心ついたころから兄とともにボールを追いかけていたそうだ。小学6年生ごろに漠然とプロサッカー選手になることを夢みて、中学生で地元・大阪の「セレッソ大阪」のJr.ユースチームに所属する。第一線で活躍するプロの選手たちのプレーを間近にし、彼の夢はより明確になっていった。
「僕は子どものころからヨーロッパでプレーしたいと思っていたので、自分がどのチームのユニフォームを着て、どのスタジアムでどうゴールするのかをイメージしながら自主トレをしていました。それがあったから、今に繋がっているんだろうなとはすごく思います」
19歳になるとオーストリア1部レッドブル・ザルツブルクの所属が決まる。初めての海外。しかも言葉が全く分からない状況で、彼は自分の夢、目標に向けて第一歩を踏み出した。
「僕のサッカー人生の中で一番といってもいいくらい、大きなターニングポイントでした。これから自分の実力だけで夢を掴むんだというワクワクした気持ちと、言葉も分からないのに一人でやっていけるのかという不安な気持ち。その両方を抱えながら飛行機に乗っていました」
慣れない海外暮らしに加え、言葉の壁は想像以上に厚かった。通訳もいたというが、自分の言葉で伝えることの大切さに気付いた彼は、家庭教師を付けてドイツ語を学び始める。
「サッカーでは自分を主張することも大事なんです。それに僕のことを分かってもらうのも重要だと思ったから。週3日、90分ほどのレッスンを3年間続けたおかげで、自信を持って喋れるようになったら、『お、こいつはちゃんと自己主張できる奴なんだ』ってチームメイトから認められるようになった」
その日々の努力がチームの好成績に貢献したのは間違いないし、彼に新たな挑戦の場をもたらした。2020年、イングランド1部リバプールFCへの移籍が決まったのだ。小さなころからリバプールFCでプレーすることを目標にしていた彼は、この移籍に歓びを噛み締めた。
「とても嬉しかったですね。でも、それよりもここで爪痕を残す、そのために何をすればいいのかを意識しました。僕のサッカー人生の中でもっともレベルの高いチームですし、何より、判断力や足の速さ、相手が寄せてくるスピード感が全然違った。それに体も強いので、最初は慣れるのに苦労しました」
そんなハイレベルな環境にも関わらず、彼は臆することなく、果敢に攻め込む。なぜなら、スポーツは結果がすべてだと知っているからだ。
「結果を出せば認めてもらえるのがスポーツ。でも、それ以上に日本人として結果を出さなくてはという責任感もありました。自分はできると思っていたから、絶対に負けなくないという気持ちは常に持っていましたね」
一つの夢を叶えた今、彼はさらなる高みを目指す。それは自分が成長し続けるために必要であり、大事なことだと思っているからにほかならない。
「目標は常に高く設定しています。ただプレーするだけではなく、たとえば、ゴールを何回入れるか、もっとチームに貢献するにはどうしたらいいか、常に目標をアップデートしています。今の目標は11月のワールドカップで活躍することです。それも子どものころからの夢でしたから、絶対に試合に出て活躍したい。日本代表のユニフォームを着てプレーすることは、サッカー選手としてすごく特別なことです。だから、今の夢はワールドカップで活躍することですね」
「憧れのリバプールで、日本人として結果を出さなくてはという責任感はありました。自分はできると思っていたから、絶対に負けたくないという気持ちは常に持っていましたね」
彼は、2016年から「Porsche Driving Athlete」として、ポルシェ・ジャパンとパートナーシップを結んでいる。これは、世界という大きな舞台で進化と挑戦を続ける日本人アスリートを応援するもので、彼ほど適した人はいないだろう。そんな彼の愛車はカイエンターボだ。現在の生活の拠点であるイギリスで、“日常の足”として快適な走りを楽しんでいるという。
この日の収録は、昨年、千葉県木更津にオープンしたPorscheのブランドセンター「ポルシェエクスペリエンスセンタージャパン」で行われたのだが、収録前、彼は周囲の豊かな自然を利用して作られたコースを実際に走ったり、ドリフトやオフロード走行なども堪能したという。
「子どものころからクルマは好きでした。中でもPorscheはいつか乗ってみたい憧れのクルマ、ブランドでしたから、こうしてパートナーとしてお仕事させていただいて、すごく幸せです。今日、カイエンでオフロードを走らせてもらったのですが、オフロードでもこんなに力強く走れるんだ、こんな機能もあったのかと驚くことがあって(笑)。今は早く帰って乗りたいですね(笑)」