ポルシェセンター姫路には、ポルシェの走行性能がしっかりわかる、自慢の試乗コースがあるらしい―― そんなうわさを耳にした自動車専門サイト『webCG』が、同店を訪問。どんな道路環境で、どのような点を試せるのか、新型911 で吟味した。
report:生方 聡 photo:荒川正幸
今回試乗車に選んだのは、ポルシェ 911 カレラ S。レッドのボディーカラーが鮮やかなニュー911である。はやる気持ちを抑えながら、運転席に身を委ねた。
スタッフの案内にしたがって、まずはポルシェセンター姫路のエントランスから、国道2号線を姫路方面に向かう。道がまだゆっくりとしたペースで流れている間に、自分自身もウォームアップ。運転に関わるスイッチ類の操作方法をスタッフとともに確認しながら、市街地におけるクルマの挙動をチェックする。ドイツを代表するスポーツモデルとはいえ、新型 911 のドライビングポジションに無理はなく、乗り心地は意外なほどいい。これなら街乗りでも十分快適に過ごせそうだ。
出発してから5〜6分。国道2号線を離れてしばらく走ると、体も911に慣れてきた。交通量が少なくなったのを見計らって、ドライビングモードを“スポーツ”に切り替えてみる。アクセルペダルに載せた右足の動きにエンジンが素早く反応し、少しハードになったサスペンションや排気音と相まって、911が持つスポーティーさを見せてくれる。
試乗コースをさらに進むと、比較的広い片側1車線の中速コーナーが続くようになる。さほど飛ばさなくても、911の軽快なハンドリング性能が実感できるステージだ。そこですかさず“スポーツプラス”に切り替えると、即座にシフトダウンが行われ、さらに勇ましい音がドライバーを包み込む。コーナーの出口でアクセルペダルを深く踏み、低いギアでエンジンを高回転まで回してみれば、ポルシェ自慢の水平対向エンジンの緻密なフィーリングやリニアな加速が楽しめる。そして、コーナー手前のブレーキングから得られる、絶対的な安心感。「走る」「曲がる」「止まる」のすべてが高い次元に仕上げられていることを、確かめることができた。
気持ちのいいドライビングを堪能しつつワインディングロードを抜けると、姫路西バイパスの看板が見えてきた。その入り口でアクセルを踏み込むと、背中を後ろから押されるような加速とともに、本線への合流が完了する。制限速度の範囲内であっても、アウトバーンで鍛え抜かれたスポーツカーならではの、走行安定性の高さは実感できるのだ。
ドライバーへの負担という点を見てみても、新型ポルシェ911は、並の高級サルーンではかなわないほど快適だ。姫路西バイパスを走行中、アクセルペダルを戻してみると、エンジンの回転数がアイドリングのレベルにまで落ちることがある。これは、コースティングと呼ばれる機能。ギアボックスとエンジンを切り離すことでエンジンブレーキがかからない状態をつくり、無駄な燃料消費を抑えてくれるのだ。バイパスを降りて再び国道2号線に戻ると、信号待ちで止まった瞬間にオートスタート/ストップ(アイドリングストップ)機能が働く。これもまた、最新の911らしい特徴といえる。
トータル20分ほどのテストドライブは、ニュー911の実力をチェックするには十分なものだった。この試乗コースは、911に限らず、ポルシェのポテンシャルを知るにはうってつけではないだろうか。
走りだけでなく、フロントウィンドウ越しに見える風景が楽しめるのもいい。気になるポルシェがある人は、ぜひ一度ポルシェセンター姫路を訪れてみてほしい。
webCG編集部が試乗したコースのダイジェストを動画でご覧いただけます。